note記事35:カウンセラーの傾聴「あの時〜していれば」という後悔をどのように聴いていくのか?

2023年8月30日にnoteにおいてコラムを書きました。

リンクはこちらです。

https://note.com/cherishgrow/n/n1dcafad7f923

noteに記載したコラム内容を再掲します。

35:カウンセラーの傾聴「あの時〜していれば」という後悔をどのように聴いていくのか?

「あの時〜していれば」という後悔

カウンセリングをしていると「私があの子が小学校の時にもっと話を聞いてあげることができれば・・・」といった話をする方がいます。
この方の気持ち、よくわかりますよね。

私も時々思い返すことがあります。
長男が生まれた時、私はとても仕事が忙しくて、家事を手伝うこともしていたなかったし、長男と遊ぶ時間もあまり取れませんでした。
休みになると妻を自由にさせるために家事を担ったり、子供と外に一日出かけて遊んだりとしましたが、今振り返ると「もっとできたこと」がいっぱいあったなぁと思ったりするわけです。

このように「あの時〜していれば」ということはついつい思ってしまうことです。
さらに子供が不登校になったとか、何か問題を持っている、親である自分との関係がうまくいっていない・・・などと何らかの問題があったとすると、この後悔はもっともっと重くなります。
時にはこの後悔が強すぎることで、辛い気持ちが増し、精神疾患になることもあるのです。

相談に来る方の中には、こういった「あの時〜していれば」という思いでいっぱいになり、ぐるぐるとした考えになっている方がいます。

そのような時に私が気にかけていることは2つです。

①「後悔する」ことを肯定する

「あの時〜していれば」と思うことは当然だ、ということです。
私はよく相談者に
「そうですよね。後悔しちゃうし、ぐるぐると何度も子供が小さい時に情景が思い浮かんだりしちゃいますよね・・・」と伝えます。

この時にカウンセラーとして絶対にしてはいけないと思っているのが「後悔してはいけない」という文脈で会話することです。
「後悔しても始まらない」
「後悔しても今の問題は無くならない」
「過去は変えられない」
このような表現をストレートに伝えるわけではなくても、カウンセラーがこのようなことを考えていると、ついつい言葉の端々に出てきてしまうことがあります。
相談に来ている方はそういったカウンセラーの気持ちに敏感です。
相談者が「このカウンセラーは私を批判的にみている」と思った時点で、
そのカウンセリングがうまくいく可能性はほとんどなくなるでしょう。

後悔はしちゃうんです。
後悔して当然なのです。
それが普通の人の気持ちの動きです。

後悔している相談者を「それはそうなるよね」という目線で理解し、受け止めていくことが大事だと思います。

②「それでもその時に自分にはそれしかできなかった」と過去を受け止めることができないかお願いする

私が①の後に行うことは
「後悔しちゃうのは当然なのですが・・・よければ・・・こんな風に考えてみてもらえますか・・・?難しいとはわかっているんですが・・・」
このように相談者にお願いをすることです。

過去に子供とか、友達に対してとか、親などに「あの時もっと〜していれば」と思ってしまうのは当然なのは前述した通りなのですが、
じゃあ「もっと〜することはできたのか?」というと、それはそれで難しいのではないかと思います。

私の話に戻りますと、
過去の私は今の自分から見ると未熟で器も小さく、情報も持っていないし、知識も足りないのです。妻のことをもっとケアしてあげたほうが良かったし、子供にももっと関わったほうが良いです。他にももっともっとやったほうが良いことはいっぱいあります。
でも・・・過去の自分はダメな中でダメなりに行動してきました。
あの時の未熟さ、器、情報のなさ、知識の足りない自分にはあれが精一杯だったと思うのです。

このように「もっとできたら良かったけど、それでもあの時の自分のレベルを考えるとあれが精一杯だった」と過去の自分のしょうがなさを受け止める、ということです。

ここで私は相談者の方に「もっとできたら良かったけど、それでもあの時の自分のレベルを考えるとあれが精一杯だった」と思ってくれとは思っていません。
難しいのは承知しているけど、よければそう思ってみてもらえませんか?
とお願いをしています。
私は相談者にそう思ってもらえらた嬉しいけど、そう思えなくても良い、
ということを前提にして話しすことでカウンセラーが過去の相談者を肯定していることを伝えることができれば良いなぁと思っています。

ここまでの話を整理しますと、
私はカウンセリングを行う時には、
「過去を後悔してしまう」現在の相談者
「過去うまくできななかった」過去の相談者
「過去をうまくできなかったことを認めることができない」現在の相談者を
そうなってしまうのは当たり前だと肯定していくことが大事なのではないかと思っています。
私にとってはこういう態度がロジャースの「無条件の肯定的関心」を表現することではないかと思っています。

いかがでしょうか。
カウンセラーを学んでいる方に少しでも寄与できればということと、
もし過去のことで後悔している方がいらっしゃればと思って書きました。
少しでもお役に立つことができれば嬉しいです。

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